ウヮーフール(豚便所)

2000.10.28.撮影


戦前の沖縄には、豚小屋を兼ねた便所があった。


便座が豚舎の前に作られ、
人間の排泄物をそのまま豚の飼料にするシステムである。

このシステムは中国や戦前の沖縄でみられた。
回りに石垣をめぐらした中へ豚を飼う。



滑り台のよ〜なスロープを降下へ落ちた便を豚が食う、
というしかけである。


▼ 参考文献「沖縄百科事典

フール 豚の飼育小屋を兼ねた便所。フーリャ、ウヮーフールともよばれた。

沖縄の民家施設の特質的なものといわれたが、戦後はみられない。中国から伝来したといわれる。

石積みの区画がなされ、屋根には石造りのアーチ形・茅葺き・瓦葺きがあった。床は石敷きで、前方にトゥーシヌミー(東司の穴)があり内側に向かって勾配がつく。

東司の前方に一枚石の目隠し壁があり、このなかに豚を数頭飼う。東司から用を足すと豚が人糞を処理した。

1916~7年(大正5~6)ころ、都市衛生上遺憾な点があるとして、時の警察署長の命令により区長立会いのもとで各家庭のフールのトゥーシヌミーを潰し、新規にフールを造ることを禁止した。

フールのわきに新たに設けられた汲取式便所は、ヤーフール(屋根つき便所)とよばれる。

字田原「ウェーメーシチャグイ家(屋号)」のフール
2001.01.08.撮影

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沖縄トイレ世替わり」―フール(豚便所)から水洗まで―
平川宗隆.著/定価1,600円(税別)四六判/(有)ボーダーインク発行

▼週間「ほ〜むぷらざ」第846号(2003年7月17日)より紹介▼
ウチナーまじない考「屋敷内で最も偉いフールの神」
(昔)魔物から身を守る場所(今)マブイグミなどの儀式も行われる

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